・埼玉県越谷市のお店
・創業60年以上の老舗
・クリーンな自然派を中心とした厳選セレクト
・ミドルレンジの価格帯のワインが充実
・なかなか手に入らない銘醸ワインの取扱も
・地酒の品揃えも圧巻
いやー、またものすごくいいお店見つけてしまいました。埼玉県越谷市、蒲生駅(がもう駅・東武鉄道伊勢崎線)からほど近いところにある、「地酒とワイン 谷塚屋(やつかや)」。
谷塚屋さんの何がいい、って、
・取り扱うワインの国とか種類とかを明確に決めているわけではなく、店主が「本当に美味しいと思うもの」をセレクトしているところ。
・自然派のワインも結構多いのですが、自然派を選ぶことを主眼にしているわけではなく、美味しいものを選んだ結果、自然派が結構多くなっているところ
・そのセレクトが私の好みにヒットしたところ
この3つ。(最後のはどうでもいいですね、すみません。)
いや、そうじゃないんですよね。当たり前のようで当たり前ではない。そう思います。その理由は後ほど伝えます。
歴史あるモダンな造りの老舗
谷塚屋さんは1959年創業。今から約40年前に今の建物になったそうです。上の写真を見ても分かる通り、店内は吹き抜け。今はお店の前の通りは広い大通りになっていますが、その通りが大通りに拡張される前はお店の前に駐車場があり、店構えもより立派に見える建物だったようです。1991年には越谷市の建築景観賞も受賞。
今は道路拡張によってお店に駐車場がついてはいませんが、すぐ近くに民営の駐車場はあります。場所柄、車で訪れる方も多い模様。
老舗、といっても店内はモダンな雰囲気。照明もちょっと落ち着いていて、整理されていて、吹き抜けも相まってとても気持ちいい。
吹き抜けの部分、奥に2階が見えますよね。この2階は試飲会やイベントができるようなスペースになっているようで、ワインのイベントも結構やっていたようです。以前は三味線で有名な吉田兄弟も来て演奏したそう。
※現在(2021年1月)はコロナの影響もあってイベントをやっていないようです。再開したらぜひ足を運んでみたいですね。
クリーンで美味しい自然派ワインたち
1階の奥にワインが並べられたスペースがあります。ちょっとこの写真では分かりづらいかもしれませんが、奥の方、少し照明が落ているの分かりますかね?ワインってあまり明るい場所に長時間あると品質が劣化しますから、この辺りも気を配られているなぁ、と感じます。店内の空調の感じといい、状態が良さそうです。
手前にはデイリーワイン、手ごろなワインが陳列されています。デイリーワイン、といってもそのセレクトにはこだわりを感じるところがありました。
奥には200本を超えるワインが並べられていますが、こちらはミドルレンジの価格帯ワインが中心。2,000円台から8,000円くらいまでのものが多く、その中でも3,000円〜6,000円くらいのものが中心、といった感じでしょうか。
取り扱われているワインの国は結構ばらけていて、様々な国のワインが置いてありました。若干旧世界のワインの方が多いかもしれませんが、新世界のワインも結構あります。自然派、というPOPが多く置かれているので、思い切りヴァンナチュール系のワインが多いかと言えば、そうでもない。スパークリングも結構いろいろなものが置いてありました。
個人的には、クラッシックなワインが好きで、自然派もそういうワインが好き、クリーンな自然派が好き、という方には向いているセレクトが多そうだなぁ、という印象。これがこのお店の特徴なんじゃないかな、と。
最初に見て「おっ」と思ったのはこのワイン。ポルトガル・ドウロでは名生産者であるニーポート。ポルトガルのワインってまだ知名度低いこともあって、価格帯が安いものを除けば実店舗で取り扱われていることはまだ少ない。ウェブではよく見かけますけどね。ニーポートのワイン、本当に美味しいんですよ。。。しかもあまり見かけないこのワインを見た時点で、「おぉこのお店は。。。」と心惹かれました。
アルザスでもトップクラスの生産者であるドメーヌ・オステルタグ。ここもキレイなワインですが確かにビオディナミ。造り方としてはアルザスの伝統というよりモダンな造り手。ななかなか見かけないですよね、都内のワインショップだと。
なかなか置いてない、と言えば南仏のシャトー・ド・ランシール。南仏のエリアでPic-Saint-Loup(ピック・サン・ルー)というAOC(AOPともいいますね。詳しくはコチラ。)があります。2017年にラングドックから独立したAOCです。このエリアではトップ生産者のランシールは欧州のレストラン界隈ではかなり有名のようですが、日本では恐らく知っている人はあまりいないのではないでしょうか。かく言う私も知りませんでした。今回は白ワインのほうを買いましたが、クリーンでめちゃくちゃ美味い。。。赤ワイン買えばよかった。。。
こんな感じで、「クリーンで美味しい」「自然派」のワインが数多く並べられています。味わいはクラッシック寄り、けど造りはちょっとモダンなものも多い。それ以外の共通項はない。とにかく美味しいワインを。それが谷塚屋が取り扱うワインの共通項ではないでしょうか。
自然派が多い理由
今回突然の訪問にも関わらずとても親切にお店のことを教えてくれたオーナー夫妻。オーナー夫妻が「谷塚屋の心」としていつも心に留めていることは次のことだそうです。こういうコンセプトがはっきりしているお店には本当にいいお店が多いなぁ。
「嬉しい時も、悲しい時も、お酒はいつも人々の傍らにあり人生に彩を与えてくれる。暮らしの中で楽しむお酒をもっと豊かに。」
そして旦那さんがお店の成り立ちから、なぜこういう品揃えになったかなどを教えてくれたのですが、次の話がとても印象的でした。
「お店をオープンしてからいわゆるフランスの銘醸ワインなんかを取り揃えていったんだけれども、高級なフランスワインを買うお客様もそんなに多くなくてね。どういったワインがお客様に好まれるだろうか、ということを模索しながら様々なワインを飲んでいくうちに、あぁこのワインが美味しいなぁ、と思うものが気付いたら、自然派のものだった。」と。今もまずは美味しい、と思うものを選び、そして同じ美味しいものであれば、より(栽培や醸造において)非介入のものを選ぶようにしているそうです。
そうなんですよね。ミドルレンジの価格帯のワインで欠品なく手に入りそうなものが少ない印象でした。だからかもしれませんが、物によっては欠品していて棚が空いていることも。こういうのってお店からすると大変だと思うのですが、それでも美味しいものを置きたいんだ、というこだわりが感じられて、個人的にとても好きです。
そして今回、特別に倉庫の中も見せてもらいました。きちんと加湿器をつけて空調も効かせた倉庫(もちろん普段は真っ暗)には、数多くの貴重なワインが並んでました。開いた口が塞がらない。。。凄い銘醸ワインや貴重なワインがたくさん。。。常連さんでもこの倉庫に入れてもらえることはあまりないようですが、店頭に並んでないワインでも取扱いがあるので、「こういうワインが欲しいんだけど」と相談すれば、凄いのが出てくるかもしれません。
私も今回特別にこちらのワインを販売してもらいました(実際に購入したのは2008年ヴィンテージ)。感無量。南アフリカにおけるトップ生産者ですが、数が少なくて、かつセミヨンでオールドヴィンテージのものはもうほとんど見つからない。ありがたく誕生日にいただきました。次はどこで飲めるかな、このワイン。。。
暮らしの中で楽しむお酒をもっと豊かに
なお、地酒・日本酒の取扱いもすごく充実してます。青森県の田酒の取り扱いも充実していました。細かいところは見てこなかったのですが、谷塚屋さん、お米屋さんでもある(あった?)ようなので、日本酒のことも聞いたら色々教えてくれそうです。
前述した谷塚屋の心、「暮らしの中で楽しむお酒をもっと豊かに」を感じることのできる地酒とワインのお店、谷塚屋さん。
こういうウェブサイトを作っていると同じワインショップに複数回行くことは限られてくるところもあるのですが、ここは必ずまた来よう、と心に誓うお店の1つ。
やはり、都心から外れたところにあるワインショップには凄いところがたくさんありますねぇ。
General Information
地酒とワイン 谷塚屋
住所:埼玉県越谷市蒲生西町2-1-29
TEL:048-986-3256
定休:水曜日
ウェブ:https://yatsuka-ya.business.site/