神奈川/Kanagawa

お酒のアトリエ 吉祥 (新吉田本店)

吉祥外観2

Key Features

・酒と食の楽しみを伝える酒販店
・フランスワイン、日本ワインの品揃え充実
・その他の国のワインも取扱多数
・日本酒、焼酎などの取扱いも多い
・ユニークな試飲イベントの開催も

独立型店舗のワインショップって魅力があるんですよ。テナントで入っているワインショップや酒屋さんだと、空間や規則等の関係でやりたいことが何でもできるとは限らないので。

でも独立型店舗であっても都内や駅近なワインショップだと、土地の広さの問題で限界がありますよね。この双方の点で立地を生かし、非常に魅力あるお店を展開されているのが、「お酒のアトリエ吉祥」の本店、新吉田店。

(なお、吉祥さんは他にも4店舗を持っていますが、そちらはテナント店舗(後述)。テナント店舗といっても面白い企画を多数されているようです。)

お酒のアトリエ吉祥外観
こういう店舗構えの独立店舗の酒屋さんは珍しい。

お店の前はだいぶ広く、駐車場も広いため、安心して車で来ることもできます(そしてこの広いスペースがイベントで活躍)。最寄駅の東急東横線の綱島駅からは徒歩だと20分程度。駅からは少し遠いけれど、これだけ充実した大型の酒屋さんは、東京にはほとんどないと思います。(千葉だと「いまでや本店」がこのスタイルですね。でもこんなにお店の前は広くない。)

都内の駅近ワインショップばかり行っていると、「駅から遠いこういうお店って人来るのかなぁ」なんて思うかもしれませんが、めちゃくちゃ来るんですよね。

独立型店舗ならではの魅力

上のお店の外観写真で見える右側が入り口。左奥に見えるのはイベントや試飲などもできるスペースになっています。私がお伺いした2020年12月にはコロナの影響で大掛かりな試飲スペースにはなっていませんでしたが、特設ワインコーナーになっていて、少しだけ試飲もできました。このオープンエアーなスペースは独立店舗ならではの魅力ですよね。(この時期、テナント店舗で試飲はなかなか行えないですしね。)

お酒のアトリエ吉祥外観 夜2
オープンエアにもなる。この日はバックヴィンテージワイン特集が組まれていた。

なおコロナ禍以前は上の写真にあるオープンエアスペース、それとお店の前の広いスペースを生かし、ワイン生産者や日本酒の蔵元を招いて様々なイベントを開催していたようです。日本酒では「青酒会」という蔵元を読んでの試飲イベントを開催していて、なんと30近い蔵元が来て300人くらいが参加するイベントなんかも開催できちゃう。こういったイベントを行えるのも、大型独立店舗の魅力でしょう(なお、「大型」というのは私の主観で、吉祥の皆さんはあまり大型店舗との認識はないようです)。

青酒会
数年前の青酒会。吉祥ブログから拝借。
1つの酒屋イベントとは思えない。。。

あと取扱アイテム数が多いのも吉祥本店の強み。

入り口からお店の中に入ると、すぐ手前は食品及びチーズ等が陳列されてますが、そのすぐ奥にはワインがずらりと並んでいます。「こりゃ相当な数だなぁ」と驚きます。店長の猪股さんにお話をお伺いしたところ、食品や日本酒など全てのアイテムで全部で2,000を超えるアイテム数の取扱のよう。日本酒や焼酎の品揃えもかなり充実しています。

さすが、「お酒のアトリエ」、吉祥。

吉祥 食材1
こだわりある食材が所狭しと並ぶ
吉祥 チーズ
ハムとチーズの品揃えが凄い!

ワインは、食品やチーズが陳列されているスペースの先に並べられています。ワインだけでも1,000近い数のアイテムがあるのではないか、ということでした(流石にちゃんと数えたことはないそうです)。手前には、かなりの数のデイリーワインが並べられています。どこのお店でも見るようなデイリーワインは多くなく、独自目線で選んでいるんだろうなぁ、と拝察しました。

吉祥ワイン売り場1
デイリーワインの品揃えもなかなか他のお店では見られないようなものも多数。
吉祥ワイン2
上の写真に写る棚の裏側。ロゼワインの品揃えも充実。

上の写真の奥が2000円後半からのちょっとプレミアムなレンジのワインが並ぶ棚となっていますが、更にスパークリングワインが並ぶ棚、日本ワインが並ぶ棚、そしてウォークインセラーまであります。

吉祥本店ワインセラー
中は見てのお楽しみ。

このように取扱数が多いのが吉祥本店の1つの魅力なのですが、吉祥のワインセレクトの魅力は数のみにあらず、なんですよね。

食事と相性の良いワインの品揃え

「吉祥のワインに対するこだわり、ってどんなところですか?」

そんな疑問を店長の猪股さんにストレートにぶつけてみました。

というのも、これだけ数が多いと、どういう基準でワインを選んでいるか、気になるんですよ。それで自分に合う点と合わない点が見えることもあるので。

よくあるのは、例えば自然派ワインにこだわっているとか、特定の国にこだわっているとか。そういう回答以外だと、「そうだねぇ」「うーん」と言って大抵は少し考えてから「美味しいと思ったものを選んでます」という回答が返ってくることが少なくありません。それはそれでいいのですが、微妙に掴みどころがないんですよね。。。

一方、吉祥本店の店長、猪股さんは質問にこう即答。

「食に寄り添うワインを選んでます!それが吉祥のこだわりです!」

この即答はちょっと新鮮でした。

吉祥本店 店長
店長の猪股さん。静かな情熱溢れる店長さんでした。

こういうコンセプトのお店、ありそうで意外とない。

「食とお酒をどう一緒に楽しむか。それを提案をする。」というのが吉祥のコンセプトだそうです。ワインのセレクトもその軸でなされていますし、もちろん食品のほうも。例えば食品では「こういう楽しみ方がありますよ」なんて提案もされていて、ワインも「こういう食品と合わせては?」というようなコメントもあったりなど、そのコンセプトがお店の中に散りばめられています。

吉祥食品紹介1
例えば牡蠣レモン缶にパクチーを合わせてみては?みたいなチョコチョコ提案がところどころで見られる。
こんな紹介も。

自社インポートワインの魅力

ヴァンニャン
ヴァンニャン
自社インポートってどういう意味にゃん?
ジョンス
ジョンス
自社でワイン生産者から直接ワインを買い付けて輸入している、ってことだよ
ヴァンニャン
ヴァンニャン
それって難しいことにゃんか?
ジョンス
ジョンス
ある程度の量を買わないと生産者も売ってくれないし、たくさん買って売れないと大変だからね。本当に美味しいものを見抜くセンスが問われるね!
ヴァンニャン
ヴァンニャン
じゃあオイラにもジョンスにも無理だなゃあ(笑)

吉祥はフランスワインを中心に現地でワイナリーを訪問し、良いと思ったものを直接買い付けています。レストラン等を除けば、吉祥でしかなかなか手に入らないワインがある、ということです。

今回店内でそれらのワインの数々を物色しましたが、いい感じのセレクトなんですよねー。思わず、バイヤーさんどういう人なんだろうか、ということまで考えてしまいました。

ワインの裏のラベルを見ると「株式会社アドレ」と記載されているワインが結構あるのが分かります。これが自社輸入品。

売り場を見ていると、自社でインポートしているワインとしては2,000円後半~6,000円くらいまでのアイテムが多い印象でした。見たことのない、ボージョレで日本人が醸すワインとか、南フランスの地葡萄を使ったクリーンな自然派など、かなり魅力的なラインナップなんですよ。結構1人で盛り上がってしまいました(笑)

吉祥店内ワイン4
こちらの棚は2000円後半~のハイレンジワインが並ぶ。
吉祥店内ワイン3
右の2つが日本人が醸すボージョレのワイン。

自社で直接フランス等から買い付けていることもあり、現地でワイナリー訪問した様子やバイヤー目線でのワイン評価などのコメントが見られるものも。吉祥は商品Popがたくさんあってこの点も結構見ていて楽しい。

吉祥店内ワイン5
こんな感じで現地レポートも。

なお、吉祥は食品アイテムについてもこだわりが。多数の食品アイテムについて、生産者を直接訪問して良いと思ったものを仕入れているそう。だから食品アイテムについても詳細な紹介の入ったPOPがついていたりするんですね。しかも生産者が来ることもあるようです。

食品生産者を呼べる酒屋は珍しい。
これ、食べたいなぁ。。。

日本ワインも充実

更にもう1つ、訪問して強く感じた吉祥本店の大きな特長が、日本ワインの品揃えが充実していること。

大型店で日本ワインが置いてあっても、比較的安いものが多数並んでいて、良いものが多く置いてある、ということはなかなかありません。

吉祥本店も少し前までは日本ワインをそこまでたくさん置いてなかったようですが、品ぞろえを見直したそう。訪問した時は(2020年12月時点)かなりの充実ぶりでした。

吉祥店内ワイン6
これほとんど全部日本ワイン。

一推しワイナリーのワインの種類が多かったりすることもあるようですが、それでもかなりの数のワイナリーのワインがあります。

吉祥のスタッフの皆さんも結構色々なワイナリーに訪れているようで、時期によっては日本のワイナリー訪問レポートがお店に貼られていたり、SNSで動画を使いワイナリー訪問の様子をレポートしたりすることもあるようです。

吉祥ワイナリーレポート
ドメーヌQのヌーヴォーレポート。

あと日本のスパークリングワインも結構ありました。

日本ワインってスパークリングワインはそこまでまだ飲まれてない。でも例えば、かぼすやライム感のあるフレッシュなスパークリングに鶏料理を合わせるとか(レモンを添えて食べるようなマリアージュがあったり)、赤身系の魚料理に日本のスパークリングを合わせる(白ワインだと生臭さが出たり、海外のワインだといまいち合わない、ということも)など、結構家庭で楽しむには便利なんですよね。吉祥本店で日本のスパークリングワインの良さを再考するきっかけと出会うことができるかもしれません。

グレイスロゼスパークリング
新しい発見のあるスパークリングの棚。

最後に~酒への熱い想い

これまでご紹介してきたとおり、吉祥に行って店舗を見て店長の話を聞いて、吉祥本店は数多くの魅力を放っていることが分かりました。

これまでご紹介したことに加え、個人的に結構驚いたことが2つ。

1つは、この時期に夜にオープンエアーで店を開けていること。最初に述べましたが、アコーディオンの扉を開けてオープンエアースペースにできるところがあるんです。

ここの扉が開くんですね。

12月の真冬の夜にオープンエアーになってるんです。

当たり前ですけどお店の中ちょっと寒いんですよね。お客さんはこの時期コート来て来店するからいい。でも店員さん、ちょっと寒くないのか?

「お酒にとっては寒いくらいがいいですからね」
「お客さんにとって楽しい売り場づくりをしたいんですよ」

店長の猪股さんはそう言ってました。もっと面白いことやって、お酒や食の魅力を伝えいたんですよねー、と。夏は当然閉店時間中も冷房付けっぱなしだそうです。お酒とお客さん第一なのがストレートに伝わってきます。

吉祥ワイン5

もう1つは、店員さんの表情。仕事中の店員さん、いい表情なんです。そして仕事を終えて、同じく仕事を終えた仲間と店内を見ながらとても楽しそうに買うお酒や食品を選んでいる。このときの表情もそう。

スタッフみんながいい表情をしている、って当たり前のようで、そういう酒屋さんって、規模が大きめの酒屋さんとしては多くはないかもしれません。吉祥に転職してきた社員さんからは、「吉祥のアルバイトスタッフは本当に優秀な人が多い。そして全員お酒が大好き。そしてお客さん想い」と。だから勉強心もすごく高いし、知識レベルも高いみたいです。

吉祥 シャトーJUN
生産者の話を熱心に聞いて学ぶ店員さんたち

色々な店員さんのおススメを聞きながら、自分の好みに近い店員さんを見つけて、自分の楽しみと知識を広げていく。イベントを通じて、地元の方や酒蔵さんともつながる。そんな楽しみ方を全力で受け止めてくれるお店ですね。吉祥は。

人とお酒と食の和と輪を感じるお店、吉祥。

だから神奈川県外からもたくさんお客さんが集まるんですね。

なお、今回訪問したのは吉祥本店ですが、吉祥さんは他に4店舗(トレッサ横浜店ボーノ相模大野店丸井ファミリー溝口店西武東戸塚S.C.店)も運営されています。冒頭にお伝えした通り、独立店舗型なのは本店のみですが、各店舗、ウェブサイトを見てもらうと写真が掲載されていて、かなりの品揃えです。。。これも驚き。別の機会にそれぞれの店舗にお伺いするのが楽しみです。

General Information

お酒のアトリエ 吉祥 新吉田本店
住所:神奈川県横浜市港北区新吉田東5-47-16
電話:045-541-4537
定休:年中無休
Web:http://jizake-ya.com/