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ワインリストってどうやって見るの?〜ワインリストを前にして何ができるといいのか

(写真はキャセイパシフィック航空ウェブサイトより)

「ワインリストってどうやって見ればいいんですか?」
「ワインリストってどうやって読むんですか?」

こんなシンプルな問いに対する回答を教えてくれるウェブサイト、意外と少ないですよね。

アメリカで非常に人気のあるワイン書籍”Wine for Normal People“の著者で同名のワイン系Podcastの主催者でもあるエリザベス・シュナイダー(Elizabeth Schneider)さんが、「ワインの資格は業界者向けになりすぎている。一般の消費者としてワインが好きな人でジュラのワインの土壌まで知りたい、と思っている人はあまり多くない。でも逆にみんなが知りたがっているワインリストの見方については全く何も教えられない」とPodcastで話をしているのをきいて個人的に結構衝撃を受けました。そうだー、確かにそうだー、と。

それでGoogleでワインリストの見方を解説しているウェブサイトを探してみると、確かにそういうサイトやページは少ない。しかも解説は大抵「一番多く取り扱いをしている国をチェック」とか、「BlancとRougeはそれぞれ白ワインと赤ワインという意味」とか、そういうことが書いてあるくらいで、他はあまりない。

ということで今回の記事を書くことに決めました。


なお、「ワインリスト、どうやって見ればいいかさっぱり分からない。。。」という人向けの記事ですので、ワインに詳しい方にとっては全くためになる内容ではありません、あしからず。。。

。。。

といってもすみません、色々考えてみた結果、結論を行ってしまえば、

ワインリストの見かた・読みかたを知るのではなく、ソムリエにワインを尋ねる時におさえておきたいことを知っておくことこそが重要

というのが私の考えです。本当にワインリストを読めるようになるには、ワインのラベルを見てどんなワインか分かるようになる、そのくらいの知識習得が必要なので。エリザベス・シュナイダーさんがどうやってワインリストの見方をご自身の書籍で解説されているかを読んでからこの記事を書こうかと思いましたが、自論を先にまず書こう、と思い書いてみます。

ワインリストの読み方、というものはほぼない?(強いて言えば単語の並び順くらい?)

ヴァンニャン
ヴァンニャン
ワインリストはどうやって見ればいいのか、というのを聞きたいにゃー、と思っていたのに、冒頭からこんなこと言われたら身も蓋もないにゃー、何考えてるんだジョンスはー!
ジョンス
ジョンス
うーん、そう言われちゃうかもしれないんだけど、でもワインリストって一朝一夕で読めるようになるものでもないんだよね。ワインのラベルが読める知識がないと見てもチンプンカンプンな外国語みたいなものだからさ。。。
ヴァンニャン
ヴァンニャン
じゃあどうしたらいいにゃー?この投稿意味ないじゃにゃいか(笑)
ジョンス
ジョンス
うん、だからワインリストが読めない場合はやっぱりお店の人に聞くべきなんだよね。でもどうやって尋ねればいいか、あんまり分からないでしょ?
ヴァンニャン
ヴァンニャン
オススメのワインどれですか?くらいしか思いつかないにゃー。それじゃダメにゃんか?
ジョンス
ジョンス
オススメといってもたくさんありますが、お客様のお好みはどういうワインですか?って聞かれたらどう答えるの?
ヴァンニャン
ヴァンニャン
そりゃもちろんカヴェルネソーヴィニヨンって答えるにゃー
ジョンス
ジョンス
そうやって注文したらこの前全く想定していなかった嫌いなワインが出てきた、って言ってたじゃん(笑)

前置きが長くなりました<(_ _)>

なぜ最初にこんなことを言うのかというと、考えてみると、ワインリストの読み方なんて(ほぼ)ないに等しいからです。個人的に思っているのは、あるとすればこれくらいかと(これも別に決まりではないから今後も続くか分からないし、お店によって違うこともあるかと)。

  1. 冒頭にヴィンテージが記載されている
  2. 旧世界のワインでは、生産者名は最後に書かれることが多い(シャンパーニュとボルドーは例外)
  3. 新世界のワインでは、生産者名は最初に書かれることが多い

これ以外にももう少し細かいレベルで言えば例えばアルザスなら葡萄品種+畑名+生産者名が基本形、といったこともありますが、そんな地域ごとに違う法則を覚える意味はないと個人的には思います。

ワインリストは単語の羅列です。文章ではありません。上記のように若干文法というかお作法的なものはあると思いますが、それはワインリストを作る側が知っておくべきことであり、読む側からすれば、単語の意味さえ分かれば読めます。文章ではない分、逆に単語の意味が分からないとさっぱり分かりません。

単語の意味が分かるか、がワインリストが読めるか、の分水嶺

例として、比較的カジュアルながら良質な食事とワインを提供しているビストロ・ヌガ(Le Nougat/銀座)のワインリストを見てみましょう。(そういえばヌガ、ってシノワと同じ運営会社なんですね。今回初めて知りました。)

いやー、とても興味をそそられるワインリスト。でも単語の意味が分からないとさっぱり。。。

例えば上から2番目のCahors(カオール)。カオールはボルドーの南にあるSud-Ouest(シュド・ウェスト/南西地方)と呼ばれる地域の中の特定のA.O.C.地域で作られるワインで、元となる葡萄のうち70%以上がコットという葡萄品種(マルベックのことで、現地ではオーセロワ、とも呼ばれる。)から作られていないとこの名前を名乗れません。この地域のマルベックによるワインはアルゼンチンのものとは違い色が非常に黒く、かなり濃厚なワインである傾向があります。これだけ知っていれば、なんとなく味わいの方向性も分かります。もちろん生産者や畑、ヴィンテージなどによっても違うので、カオールが気になれば、この辺りをソムリエの人に聞いてみよう、と考えると思います。

同じく上のリストの「その他のフランス」の最後に書かれている”2004 Vin de Pays des Bouches du Rhone, Trevallon”なんかもその際たるものです。Vin de Paysがわからないと不明だし、Bouches du Rhoneはプロヴァンスにあるマルセイユを含む地域の名称だと分からないと、下手をするとローヌ地方のワインだと思ってしまう。Trevallonはプロヴァンスでは非常に有名な名造り手で、知っていれば「おぉ」って注目すると思いますし、味わいの方向性もイメージできるかもしれません。そうでなければちょっと高いからやめておこう、というだけの存在ですね。

Travallonの当主たち。Trevallonのウェブサイトより拝借。

やはりソムリエに相談するのが良い。といってもどう相談する?

上に述べたとおり、ワインリストが読めるかどうかは、書いてある単語の意味が分かるか、にかかっています。なので、単語の意味が分かる状況になければ、読みようがありません。英単語をほとんど知らないのに、洋書を読みようがない、というのと同じですね。だから「どうやって読むの?」と聞かれれば、「必要な知識を身につける他ない」というのが答えだと思います。(ただどうしても読み解いて注文したい、という方向けのコメントを最後に残しました。)

でも別にワインリストが読めないとワインが楽しめないわけでもありません。ワインリストを読めなければ、ソムリエに注文するワインを相談するのがベストです。

だけど、どうやって相談するべきか、というノウハウが解説されていることはあまりない気がします。単にソムリエに尋ねれば自分が美味しいと思えるワインが出てくるか、といえばそうじゃないと思うんです(もちろん逆の立場からすると、お客さんがどういう風に尋ねてきてもその方に合ったワインをチョイスできるかがソムリエの腕の見せ所ではありますが。)。少し事前準備をしておくとソムリエへの相談がより実りあるものになる。それを考えてみる、というのがこの投稿の本当の狙いです。

ソムリエに尋ねる前に準備しておきたいいくつかのこと

ではどんなことを準備しておけば、ワインリストを前にしてより実りのあるソムリエへの相談ができるのか。考えてみました。これは概していえば、こういうことになるかと思います。6箇条です。

  1. 自分および同席するゲストの好みを把握する
  2. どんなワイン(泡・白・ロゼ・オレンジ・赤など。それと価格帯。)をどれだけ(本数)注文する予定でいるのか、ある程度決めておき、ソムリエに事前に伝える
  3. どんなワインを飲みたいか(自分が今日飲みたいと思っているワインの特徴等)を、できれば過去に飲んだことのあるワインを使ってソムリエに伝える
  4. 苦手なワイン、またはできれば避けておきたいワインの特徴も伝えておく
  5. 複数選択肢を提示してもらい、最後は自分が選ぶ
  6. 実際に飲んだワインで特に美味しかったワイン・気に入ったワインのラベルの読み方、意味について分からないことがあればソムリエに尋ねたり、自分で少し調べてみる。

自分および同席するゲストの好みを把握する

これ多分最も重要ですね。ワインを選ぶ際に自分の好みを明確な言葉で把握しておくことの重要性は下記の投稿でも触れましたので、説明はそちらに譲ります。

たくさんのワインと語る人
ワイン探しの心得?5ヶ条(私見) 本サイトは、ワインショップを巡る楽しさなどを少しでも伝えたい、と思ってつくっているサイトです。ただそもそも、 「ワインショップに...

ゲストの好みの把握もとても重要ですね。これは先入観を取っ払ったほうがいいですね。例えば私の過去の苦い経験として、自分とアメリカ人2人で高級イタリアンに行った際に、乾杯の泡とは別に2本注文することになってワイン選びを任されたのですが、順当に白ワインと赤ワインを頼みました。でも振り返ってみたら、赤ワイン2本のほうがよかったんですね、その2人のゲストの好みとしては。

あとゲストの好みを把握するには、上の③と同じやり方で把握したほうがいいです。抽象的な言葉で認識の統一を図るのはなかなか難しいですし。また「マルベックが好き」と言われても、前述のカオールとアルゼンチンのマルベックでは雲泥の差ということもあり得ますので。

どんなワイン(泡・白・ロゼ・オレンジ・赤など。それと価格帯。)をどれだけ(本数)注文する予定でいるのか、ある程度決めておき、ソムリエに事前に伝える

ソムリエの方でもお客さんがどの程度のワインの本数を頼むか普通は探ると思いますが、注文する側も少しこの辺りのイメージを持っておいたほうがいいかと。特に、ワインは飲む順番が結構大事、と意識しておくといいです。

例えば4人でレストランに行って、最初にスパークリングワインを注文し、2本目で、「このBrunelloって美味しいですか?」と聞いてからブルネッロを注文した後に、次に気を良くして自分でワインを選ぼうと思ってキャンティを選ぶ、なんてことがあると若干悲しいかも。。。どちらも同じサンジョヴェーゼ(ブルネッロはサンジョヴェーゼ・グロッソという変異種ですが)ですが、ブルネッロの方が基本的には良質であるので先ではなく後に飲みたいワインです。(まぁこういうセオリーが良いか悪いか、という議論もあるとは思いますが)

細かく決めておく必要はない(食事をしながら気分で決めるのもいいですもんね)のですが、ざっくりとイメージしておいてソムリエとその点共有しておくと、ソムリエのほうでもオススメするワインのイメージ湧きますからね。

あとは価格帯も何となく考えておいてこちらもソムリエと共有しておきたいですね。総予算で伝えてもいいかもです。

何色のワインをどれくらい飲みたいかはソムリエと共有してはいかが?
ソムリエに委ねる、という選択肢もありはあり。

自分の飲みたいワインのイメージを決めて、具体的なワイン名で伝える

これはできればです。「さっぱりした白ワインがいいんだけど」と一言でいっても、その言葉に込められるイメージは千差万別ですし、捉える側でもだいぶ認識にズレがあり得ます。さっぱりしたものをお願いし、ミュスカデを勧められて飲んだら「薄いなぁ」って思う人もいるかもしれない。カリフォルニア、SonomaにあるFlowersという著名なワイナリーのシャルドネは豊潤な味わいながらシャープな酸味が骨格となっているワインですが、これをさっぱり、と捉える人もいる。

なので、できれば具体的なワイン名で伝えてあげたほうがいいですね。「この前ブルゴーニュの白ワインを飲んでそういったタイプのワインが飲みたいんだけど、ブルゴーニュ以外で試してみたい」とか、「以前、南アフリカのハミルトン・ラッセルという造り手のシャルドネを飲んで感動したんだけど、そういうのが好みです」とか。はたまた「フランスのミュスカデというワイン、古いヴィンテージのものを飲んだらさっぱりしつつも味わいもちゃんとして美味しかった。樽香がないワインでそういったワイン、ありますか」みたいな。そういうワインがない場合でも、ソムリエとしてはよりイメージがしやすいと思います。

覚えるの大変であれば写真を撮影しておいて見せるだけでもいいですね。

苦手なワインのタイプは伝えておく

これは重要です。ただ、よくワインを飲んでかつ意識しておかないとそもそも苦手なワイン、分からないかもしれません。これは抽象的な言葉でも具体的なもので表現するのでもどちらでもいいです。

「樽香が強すぎるのはダメ」とか、「薄すぎるワインは嫌だ」とか、「自然派が強く出過ぎているのは苦手」とか。「アルコール感が強すぎるのはちょっと避けたい」「甘みのあるスパークリングワインは避けたい」とか。少しでいいので伝えておくといい気がします。

複数選択肢を提示してもらって、最後は自分が選ぶ

これは重要。ソムリエによってはゲストの好みを伺ったのち、特定の1つのワインをプッシュしてくる場合もなきにしもあらず(あんまりないと思いますが)。ただ何となくひっかかりつつ注文するのも心理的に良くないし、ワインリストからソムリエのアドバイスを聞きつつ自分で選んでみる、ということも大切な気がします。なので、3つとか4つとか選択肢を提示してもらったうえで、自分で選ぶのがいいのかな。と。

もちろん、その選択肢を提示してもらったうえで、「ソムリエ―ルとしてはどれがベストだと思いますか?」「どれが一番個人的に好みですか?」と聞いて、「じゃあそれにします!」というのでもいいと思います。

どういうかたちであれ、自分が選択した、というのが楽しいところでもあったりするので。

注文したワインについて学んでおく

「ワインリスト、どうやって読めばいいの?」という疑問は、ワインリストを読めるようになりたい、という気持ちがあるからこその疑問ですよね。かといって学問みたいにワインを勉強する、というのはそれはそれで大変です。

だからこそ、飲んだワインで「お、これいいな」と思ったものは、ラベルが読めるように少し調べてみるのがおすすめ。でもせっかくワインリストとソムリエが目の前にいるんだから、ソムリエに質問したらいいですよね。

「このオススメしてくれたワイン、とてもよかったです。ちなみにこのワインに書いてある「Irouleguy」ってどういう意味ですか?」みたいな。典型的な質問はこういったものがあるかと。

1.このワイン名、このワイン用語は一体どういう意味なのか
2.この生産地域はどういう特徴の場所なのか
3.この生産者はどういう生産者なのか
4.このヴィンテージはこの地域ではどういう特色があるのか

そういうのが分かってきて面白くなる方は、自然とさらに勉強するかもしれないし、何より好奇心をくすぐる飲み物としての楽しみをより感じられるのではないでしょうか。

例えばこのAu Bon Climatのワインであれば、「Santa Maria Valleyってどういうところですか?」みたいな質問でもいいし、「Au Bon Climatってどういう生産者?」という質問でもいいかと。

それでもワインリストを紐解いて注文したい、ワインリストが読めるような雰囲気を出したい、という場合は、、、

ワインリストを前にソムリエにどうやって相談すればいいのか、というのを考察してきました。

ただこの投稿のタイトルにあるように、「ワインリストってどうやって読むの?」「何とかワインリストの簡単な見かたってないのか?」「ワインリストを見て注文してみたい。どうしたらいいか。」というのが最初に頭に浮かぶ疑問であると思います。

その問いに敢えて何とか応える方法があるのか。。。今のところあまり明快な回答は思いつきません。

強いて言えば、行く店が決まっていれば、事前にワインリストをウェブサイト等で確認して、気になるものを調べ、頼みたい気になるものを複数ピックアップしておく。実際にお店に行った際には、その気になっていた複数のワインについて、特徴をソムリエに聞いてみたうえで、自分で注文してみる。

こんな感じでしょうか。

何事も準備が大切ですね。

自分なりの考察をしてみたのですが、皆さんのお考えはどうでしょうか。正解なんてない話なので、より多くの人がワインリストを前にワインを楽しめるようにしたらどうすればいいか。色々な方の話を聞いてみたいです。