中国はワインの生産量としても消費量としても非常に多い国ですが、日本で中国ワインを飲む機会は正直なかなかありません。
中国でのワイン生産量としては最近人権問題で話題の新疆ウイグル自治区がかなり生産量の多い地域と呼ばれています(ワインではなく葡萄の生産量が圧倒的に多い)が、最近では寧夏回族自治区(Ningxia)もホットな地域ですよね。
有名な高級ワイン、Ao YunはLVMHが雲南省で造るワインですが、まだまだ色々な地区がありそうです。
そして先日、たまたまあるお店で中国・遼寧省(Liaoning)で造るワインを飲む機会がありました。
飲んだら結構良かったんですよね。ちょっとエレガントなボルドースタイルのワイン、みたいな感じでした。少し酸味が穏やかでもうちょい酸が残っていて欲しかったですが、2006年というヴィンテージを考えると、むしろ酸がちゃんと残っていたらこれだけきちんとした味わいが残っている、という気さえしました。
しかもこのワインの葡萄品種、なんだと思いますか??
最初ボルドーブレンドだって聞いていたのですが、このワイン、葡萄品種はBlue Frenchなんです。
「はぁ?」
という感じがしますよね。最初このBlue French(法国藍)というのが何を指しているのかさっぱり分かりませんでした。むしろ「フレンチって名乗ってるのは、フランスワインっぽさを出したいんだろうか。。。」みたいなイメージしかなく。
しかしよくよく調べてみると、このワインを会社として日本で唯一輸入しているいまでやのウェブサイトをみると、葡萄品種が「ブルーフレンチ」と書いてある。???
更に色々調べてみると、IWSCのウェブサイトにこのワインのテイスティングコメントが掲載されていて、そこには葡萄品種は「Blaufränkisch」と書いてありました。え?ブラウフレンキッシュ??オーストリアとか東欧でメジャーなあの葡萄??
あー!!そうかー、ブラウフレンキッシュって「青いフランクの葡萄」という意味で、このフランクは本当はドイツのフランケン地方のフランクのようなのですが、英語での説明ではBlue French Grapeって書いてあったりするんですよね。だからBlue Frenchはブラウフレンキッシュのことを指していた!という。なんとも驚きました。中国でブラウフレンキッシュ、ってイメージなかったので。
ただ確かに遼寧省って緯度で言えば青森くらいでしょうか、結構寒い地域なんですよね。この記事の冒頭の写真はChateau Changyu Golden Icewine Valleyの写真(引用元はコチラ)なんですが、ヴィダル(カナダでは著名なアイスワイン用葡萄)で造るアイスワインが有名。そしてこのシャトーはコンサルとしてOIVの元プレジデントRobert Tinlotが入っていたり、豪華メンバーなんですよね。凄い。ジャンシス・ロビンソンも過去にこのワイナリーのワインに賛辞を送っています。
なお、2021年のサクラアワード受賞ワインの中に数は少ないながら中国ワインも入っていますが、その2つが遼寧省で造られている白ワイン2種。
遼寧省のワインって日本ではあまり聞きませんが、クールクライメットな場所として、意外とホットな地域になるかもしれませんね(もうホットなのかもしれませんが)。