皆さんにとって美味しいワイン、ってどんなワインでしょうか。
私の場合、美味しいと思うワインの典型は、1口目で感動するワインではなくて(そういうワインで美味しいのも当然あるものの)、最初に飲んで「うん、美味しいなぁ」と静かに思って、その後、ずっと飲み続けられる、飲み続けたいと思うワイン。そして更にだんだんとおいしくなるワインです。
このワインも、そういったワインでした。むしろ最初はそこまで印象強くなかったんですが、だんだん良くなっていく感じのワイン。
アリゴテって昔ブルゴーニュでは酸味が強すぎて厚みもないため、敬遠されてきた葡萄品種ですが、現在ではAOCブーズロン(ブルゴーニュのコートシャロネーズという地域にある、アリゴテで作られるワインの名称)を始め、ブルゴーニュアリゴテ、という名称でも多くの美味しいワインが作られる葡萄品種でもあります。
基本的にはそれでも酸味が強めのワインが多いのですが、このワインは酸味はかなり穏やかで、味わいに厚みがかなりある。ただかなり強いミネラル感(Stonyと呼ばれる濡れた石の感じを超えて、金属に近いような香り・感覚もありました)と苦味があって、それがこのワインの骨格をつくっている、そんな感じがありました。
このワインが凄いなぁ、と思うところは、ほんのり微かに還元しているが、全く嫌味のない、絶妙なバランスで、微かな還元が逆にピーンと張ったこのワインの空気感を保っているんですよね。
Stonyを通り越して若干金属的なニュアンスさえ感じるシャープなミネラル感があるのに、なんか優しい。口の中にワインを含んだまま口の中で転がすと、ミネラルな殻というか膜の中に、樽由来の優しく丸みのある味わいが感じられる。この二律背反的なワインには、ステンレスタンクで発酵した後に古樽で熟成、そしてフィルターは弱め、というパターンが多いかもしれないなぁ。とても厳しい、でもどこかに優しさのある人を感じさせるような、そんなワインでした。
このワインはフラジェ・エシェゾー村内の0.27haの自社畑にある1949年植樹の葡萄から作られるVieilles Vignes。ステンレスタンクで発酵後、3~5回使用樽で10ヶ月間熟成。味わいからして発酵温度は高めだろうなぁ。作り手のAudiffredはDRCでも長く栽培者の1人として働いていたようです。このワインは生産本数はかなり少ないようで、飲めてラッキーだった??